Talk 2017/05/13 12:00

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トランスジェンダー、家族の軋轢、いびつな恋。愛憎入り乱れた感情を描く、"天才"グザヴィエ・ドラン監督とは何者か。

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写真:ロイター/アフロ©ムービープラスカンヌ映画祭/67回授賞式の様子

今、世界中から熱視線が注がれている若き映画監督がいることをご存知だろうか。
その男の名前はXavier Dolan(グザヴィエ・ドラン)。カナダ出身の1989年生まれ、28歳だ。

端整なルックスから俳優として活動していた彼が、"美しき天才"と称されるようになったのは20歳の頃。17歳の頃に書いた脚本を元にした映画『マイ・マザー』をカンヌに出品して以降、映画界でカルト的人気を誇っていた。

昨年開催された「第69回カンヌ国際映画祭」では、『たかが世界の終わり』で若干27歳ながらグランプリを受賞し、一躍その名を世界に知らしめた。なぜドランの作品群は人々の心を深く惹きつけるのだろうか?

彼の映画とヒストリーを紐解きながら、グザヴィエ・ドランの魅力を紹介していく。

トランスジェンダーをカミングアウトした半自伝的な作品で鮮烈監督デビュー

ドランがいち早く注目を集めたのは2009年に監督・脚本を手がけた処女作『マイ・マザー』。少年期の葛藤や周囲に対する嫌悪感を丁寧に描いたこの作品は、第62回カンヌ国際映画祭に出品され高い評価を受けた。このとき若干20歳。脚本を書きあげたのは、なんと17歳だったというから驚きである。デビュー当時からすでに異彩を放っていたのだ。

その後も13年公開の『トム・アット・ザ・ファーム』で第70回ヴェネツィア国際映画祭、国際映画批評家連盟賞を受賞。14年公開の『Mommy/マミー』では第67回カンヌ国際映画祭審査員賞を受賞し、映画監督としての地位と名声を確立した。

登場人物の心理を描写する、MVのような革新的カメラワーク

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Photo by Andrew Neel

監督デビュー作『マイ・マザー』は、同性愛者の高校生とその母親の話だ。キャッチコピーは、『17歳、僕は、母を、殺した――。』

ドラン自身が主演を務めており、この作品を通じて自らがゲイであることをカミングアウトしている。同性愛者である彼の痛切な心理状態を示すような、半自伝的要素を含んで描かれる、多感な10代とその母親の微妙な関係性。その中にある愛と憎しみが、作品の随所から感じ取れる。

この作品をはじめ、ドランの映画作品には家族や男と女、愛について訴える作品が多いのも特徴だ。

10年に公開された『胸騒ぎの恋人』では、ゲイの青年と友達である女の子が、同じ青年を愛してしまうという物語を、前作同様に自らが主演を務めた。同性愛者であるからこそ感じた苦痛や葛藤、恋をしているときの不安やもどかしさを巧みな演出と映像技術によって描き出している。

彼の映画はカメラワークや色彩美、そしてまるで詩のような巧みなセリフが特徴的だ。

例えば2014年に公開された『MOMMY/マミー』では、劇中1:1(正方形)のアスペクト比で映画を描き、中盤ではOASISの名曲『Wanderwall』と共に突如シーンが開けるという独特なスタイルを採用している。登場人物たちの内に秘めたる感情を音楽、カメラワーク、色彩で描くことに抜群に長けているのがドランなのだ。

究極の愛の物語『わたしはロランス』

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それでは、5月19日にスカパー! でも放送されるドランの代表作『わたしはロランス』の一部を紹介しよう。

「自分は間違った体に生まれてきてしまった」

映画『わたしはロランス』はトランスジェンダーの高校教師の男性、ロランスの独白から始まる。女性として生きる決意をしたロランスと、彼を支える女性の恋人の10年間を描いた物語だ。

世間から好奇の目にさらされ偏見に苦しみつつも、まっすぐ社会とぶつかり変わらぬ愛を貫く、究極のラブストーリー。

ドランは作品の中のセリフや映像を通して、私たちに本当の愛とは何かを訴えかけてくる。場面写真でも使われている色とりどりの洋服が空から降ってくるシーンなど、この作品でも彼の世界を存分に堪能することができるだろう。

人の感情を繊細に、そして激しく美しく描き出す物語。自身の経験や感情を全て映画にそそぎ込む...心を揺さぶる作品を作り続ける"美しき天才"グザヴィエ・ドラン。彼の映画を観ればすぐに、あなたも"ドランワールド"の虜になることだろう。

最後にグザヴィエ・ドランとは何者かを紐解く上でヒントになる昨年カンヌ国際映画祭でグランプリを受賞したときのドラン本人のスピーチを一部引用しよう。

「感情というのは単純なものばかりではなく、それを他の誰かと分かち合うのは、簡単なことではありません。時に甲高い叫び声や、突き刺すようなまなざしを伴い、暴力すらほとばしります。(中略)これからも人々に愛される、あるいは嫌われる映画を作るでしょう。それでも、アナトール・フランス(*1)が言ったように、"無関心な知恵より、情熱的な狂気の方がいい"のです」

(参考:http://getnews.jp/archives/1470104

*1:アナトール・フランス:フランスの詩人・小説家・批評家

Writer:Moeka Kotaki

スカパー!番組放送情報

わたしはロランス

放送日時 2017年5月19日 (金) 15:30~18:30 ほか
チャンネル ムービープラスHD(CS240/プレミアムサービス632)

※再放送や関連番組の検索はこちら

※放送スケジュールは変更になる場合がございます。

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