Talk 2017/09/01 10:00

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HIDADDYの「勇気だけで始めるフリースタイルRAP」

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9月4日に第12回大会の様子が放送されるBSスカパー!の人気企画「高校生RAP選手権」。番組内で繰り広げられてきた若きラッパーたちのMCバトルとそのスキルのカッコよさに魅せられた人も少なくないだろう。この番組を起点に、昨今、フリースタイルRAPは確かな盛り上がりを見せている。

今回の企画は、そんなフリースタイルRAPに「興味はあるが、始め方も分からなければ、自信もない」というスキルゼロ地点の皆さまのための超初級フリースタイル講座である。

先生は同選手権のオーディション審査委員長であるこの人…

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まずは、本編に入る前にこれからフリースタイラーを目指す皆さまに当てた、彼からの励ましのメッセージをお読みいただこうと思う

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……ちょっとだけスパルタかもしれない。

だが、上記メッセージを見て「俺、ヤレるぜ!」と思っている勇者たちには、ぜひ下記本編に進み、彼の教えを実践してみて欲しい。

その勇気と行動力があれば、今はスキルゼロの皆さまも、きっと自らフリースタイルRAPを楽しめるようになるはずだから…

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-そもそもHIDADDYさんがRAPを始めたのはいつごろですか?

17歳ぐらいですね。僕は大阪・アメリカ村の服屋でバイトしてるダンサーだったんですよ。当時、SOUL SCREAMの1stアルバムが流行ってて、みんなでそのアルバムの歌詞カードが折れ曲がるくらいまで歌ってたんです。そんな中で、バイト先の向かいの店にめっちゃかわいいお姉ちゃんがいたんですけど、それが先輩の彼女やったって知って、残念だなーってなってね。そんな彼女のことを、当時聞いてたSOUL SCREAMのトラックに合わせてRAPにしてたのが最初かな。「お姉ちゃんがボンキュボーン」みたいな感じで。そこから、面白いなぁってなって、いろいろリリック(※1)を書いては、出来た曲を10分テープに焼いてましたね。楽しかったな。

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-では、今から初心者がRAPを始める場合、何から手を付けるといいでしょうか?

正直、今はRAPってYoutube見て、真似したらソレっぽくなってくると思うんですよ。良し悪しは別としてね。UPされてるRAP動画見て、「あぁ、スゲェなー」って感じて、で、関連動画には音だけのインスト音源とかもUPされてたりするじゃないですか、そのインストの音に乗せて、さっき感じた“スゲェ”って思いを適当に喋り始めたら、それが始まりにはなっていくんです。

昔はたいがい家にCDとかMDとかカセットしかなくて、ほんまにインストの音源がなかったんですよね。シングルの12インチレコードを買わないとインストは付いてなかったし、そのインストを流したいがためにターンテーブルを買いましたし。今の時代はそれがWeb上にいっぱいあるわけですから、RAPを練習をしやすい状況と情報は整ってますよね。

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ただ大事なのは、RAPを練習するなら〝集中する〟んじゃなくて〝夢中になる〟ってこと。

例えば、いろんな曲を聴いて好きなフロウ(※2)を見つけようとする子がいるとしたら……その子はすごい集中してラップやってるヤツなんですね。でも、ラップが上手くなるヤツは、そうじゃなくてただ子供に戻って夢中になれるヤツなんです。

夢中になってる十代って、一番、高野豆腐のようにすごく情報を吸収しますからね。〝夢中〟の力は〝素晴らしい集中力〟より上。

だからRAPを始めるなら、まず情報集めじゃなく、どんどん現場に出向いて体感して欲しい。初めて目の前でフリースタイルを見たりとか、そうすることで俺らが十代の時にかかったようなHIPHOPウイルスに感染するんだと思うんですよ。

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-フリースタイルを始めるにはどれくらい上手くなってからがいいですか?

曲を作るのと、フリースタイルは全く別です。必要な勇気とか、瞬発力とかね。

ただ、僕は昔からこう言ってるんです、「まずは〝上手い下手〟じゃなくて、〝つまらないとつまらなくない〟だよ」って。例えば始めたばかりの子と一緒にサイファー(※3)すると、すぐに言葉に詰まって「あー無理や」ってなるんですけど、その「あー」と「無理や」の二言だけをビートに乗って口に出していくだけで、場を盛り上げることも出来るんですよ。楽しそうだったら、周りも「いいねぇ」ってなるし、そこで「何やねん、オマエやめろよ」とはならないと思う。

だから、RAPが上手くなくても、サイファーには混ざれるんですよ。フリースタイルにはスキルよりも、まずはその一歩踏み出す勇気っていうのが必要ですね。

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-できないからと逃げては駄目だと?

そもそも「どのレベルからが〝できる〟なん?」ってところですよね。僕はその言葉に凄いこだわりがあって、「フリースタイルできますか?」って聞かれた時、いつも困るんですよ。「ラップできますか?」「スクラッチもできるんですか?」もそうなんですけど、僕はそういう時には「ラップ好き」「スクラッチも好き」って答えるようにして、〝できる〟ってあんまり言わないんです。

だいたい、世の中にはいろんなスタイルのRAPがあるんですよ。だから自分で自分のそれがRAPだって言い切ってしまえば、それはそれで良いんです。貫き通せば何でもありなんですよ。

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-ただ、いきなり他人と絡むのって怖いですよね

それはそうですね。

いずれは全然知らんヤツと「サイファーしようや」なんて挨拶も無しに、いきなりサイファーしかけるくらいになって欲しいんですけど。そんな時は、誰でも凄い緊張する。俺でも新規の女の子と始めてチューする時くらい緊張するし。まぁ、もう年いってるので、それ相応の緊張くらいですけどね(笑)。サイファーは自分との戦い。上手くいかないことの方が多いし、上手く言った時は気持ち良い。いつだってそれを仕掛ける勇気が大事なんですよ。

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-初心者がスキルを高めるためにやるべきことは何でしょう?

RAPはライム(※4)とフロウ、まずはこの二つですよね。フロウに関してはまずは誰かのマネするとか、カラオケとか、まぁいろいろ……そうだな、フリースタイル始めた時に何言って良いか分からへんみたいな子にはコレがいいかな。例えば…本を開きます(※HIDADDY、おもむろに現場に置いてあったヨムミル!本誌を開く)。で、ビートが流れます(※HIDADDY、ヒューマンビートボックスを始める)、で、この頁をどんだけカッコよく読めるかみたいな感じで…(※HIDADDY、開いた頁の言葉を拾い、ビートに乗せてカッコよく口にしていく)…っていう〝いきなりフロウ対決〟。僕もよく遊びでやってたんですが、これは基本的にライムにとらわれなくてフロウだけの遊びなんですよね。じゃぁ、記者さんもやってみましょう(HIDADDY、違う頁を開いてビートを刻みだす)。

-……………(20秒くらい固まる記者)

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はい、駄目。いきなり読まないとね。とりあえず棒読みでもいいから声を出さないとだめなんですよ。じゃあもう一回。

-(観念して、たどたどしく紙面の言葉を並べ始める記者)

いいじゃないですか(笑)。コレ、誰でもけっこうソレっぽくできちゃうんですよ、だからとにかく恥ずかしがっちゃダメ。ビートが音源であったらもっとやりやすいですよ。BPM(※5)97、8から105、6くらいで、遅すぎず早すぎずくらいのヤツがいいかな。遅いのはが逆に難しいですからね、ある程度早くてアップテンポの方がかっこよく聞こえちゃいます。

-(大量の汗をかきながら)なるほど…。ちなみにライムの練習法はあったりしますか?

それはもう経験ですよね。僕らはある程度、今まで踏んできたライムの引き出しがあるから、ひとつの言葉に韻の発展系が出て、続いていくんですよね。でも、やりたての子は、それが少ないから引き出しが止まる、言いたいことが言えなくなっちゃうんですよ。

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僕もライムにとらわれ過ぎて面白く無くなった時期があったんです。僕は中卒で、どっちかと言えば物覚えが悪くて、アタマ悪かったから、他のラッパーみたいには全然韻が踏め無い時期があったんですよ。そんな中でライムにとらわれ過ぎて、言いたかったストーリーが変わっていっちゃったりしてね。

ただ、そんな中で、僕らはストーリーを気にせずライム!ライム!ってやってきた。それがその後進化して、スタイルになって、後に(HIDADDYが参加している)韻踏合組合につながってたりするんですよ。だから、ライムに苦戦することは、成長過渡期には悪いことじゃないんじゃないかな?

ただ、楽しくないと続かないから、そのバランスには気を付けたいところですね。

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-「高校生RAP選手権」みたいなMCバトルとなると、また楽しむだけのフリースタイルとは勝手が違いますよね?

全然違いますね、相手がいて、お金を払って見てくれる人もいて、その人たちの前で罵りあって…

-HIDADDYさんが最初にMCバトルを経験したのはいつですか?

いつかなぁ?まだ売れて無いころのMINMIとかと一緒に出てた「マテリアルゴールド」とかですかね。FM802の企画の人がやっていた大阪のクラブイベントで、僕はCHIEF ROKKA(韻踏合組合を構成するグループの一つ)のフューチャリングで出てたんですよ。

その頃の僕は二十歳そこらで、B-BOYパークの方が先だったかもしれんけど、MCバトルの大会ってだいたいその辺から始まっていったんです。

それまではマイクジャックっていうか……気にいらんやつらのライブに乱入してマイクを奪って、フリースタイルで言いたいこと言い合うやつなんですけど、それをバトルだと思ってました。

まぁバトルは……

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みんなマジやな。

舐めたヤツいたら、それはそこで話終わらへんこともあるし、昔は乱闘とかもよくありましたよ。

-…気を付けるべきところは?

いろいろあるけども、例えばバトルしてる片方の子が僕の「一二三屋」で売った服を着てたとするでしょう。で、相手の子が何も知らずに、「オマエの服、とりあえずダサい、そのラップも、そのキャップも―♪」みたいにひたすら服をディスってたら、その後で、バトルを見てた僕は質問しに行っちゃうよね。「おつかれー、あの服そんなにダサいかな????????大勢の前で『一二三屋』の服ダサいダサいって言ってくれてたよね――」って。

ディスの言葉が「その服、オマエが着てたらめっちゃダサいねん」とかだったら、また違うんですよ。「服がダサい」と「着こなしがダサい」は全然違うわけで、言葉ひとつですよね。それで失敗する若い子とか結構いますね。服は、服も、服で……その接続詞ひとつで命を落とすかもしれない。これがHIPHOPだと思いますね。

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まぁ、高校生RAPではね、そんなことあんまりないだろうけど、ラッパーだったら言葉に責任があるんで、僕も言葉の重みには気をつけてますよ。

-……ハードですね。そんなMCバトルの優劣ってどこで決まるんでしょう?

基本的には盛り上げたヤツが勝ちなんですけど、僕はライムを聞いていたりしますね。特に聞いたことの無い長いライムとかヤラれます。もちろん、ライムだけが全てだとは思ってないですよ。ライムが無くても、それなりのパンチライン(※6)、内容があったりとか……あとはHIPHOPを感じるかも大事ですね。HIPHOP感じたいから。

-ちなみにHIPHOPとはどんな所に感じるものですか?

KRS-Oneの本には「人種差別の時代、物事を訴える方法が無かったアフリカ系アメリカ人は、リズムと爆音に乗せて自分たちの訴えをしゃべりだした、その心の叫びや彼らの姿がHIPHOPであり、そこから生まれた音楽がRAPだ」みたいなことが書いてありましたね。僕は、ハンディキャップを持ってるとか、親がいないとか、貧乏だとかって子が、そういう悩みみたいなものを逆に武器に変えれるのがHIPHOPなのかなと思ってます。

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だからと言ってボンボンはHIPHOPじゃないって訳じゃないんですけどね(笑)。

大事なのは訴えたい気持ち。訴えたいことを本気で持ってない、見えてこないRAPはダサいんですよ。

-ありがとうございました、では最後にこれからフリースタイラーを目指す方々に、メッセージをいただいてもいいですか?

まず、生の人前でRAPすること。ネットじゃ駄目。動画じゃ駄目。相手がラッパーでもラッパーじゃなくても、妹でもお母さんでも、誰でもいい。そいつの目を見ながらRAPできるかです。最初、めっちゃ恥ずかしいから。

あとはそれをどんだけ繰り返せるかですね。その数が多ければ多いほど、RAPを、フリースタイルを楽しめるようになってくるし、好きになれると思います。


※1 リリック

歌詞のこと。

※2 フロウ

節回し。ビートのリズムに乗り、言葉にメロディや緩急を付けて気持よく聴かせるスキル。ビートに乗る事を重視した、音楽的なスキル

※3 サイファー

ラッパーたちが集まり、フリースタイルでラップし合うこと

※4 ライム

韻を踏むこと。例えば「対決(aieu)して解決(aieu)」など、主に母音(a i u e o)を揃えることを指す。

※5 BPM

Beat Per Minutesの略。1分間に四分音符が何回カウントされているかを表す。楽曲のテンポ、速さを表す。 例)BPM90だったら1分間に90回の四分音符がカウントされる。BPMが高ければ高いほど速い曲。

※6 パンチライン

英語で「(アメリカンジョークなどでの)オチ」という意味。 ヒップホップやラップバトルでは「印象的な部分」や「名言」「対戦相手に効いた部分」などの意味で使われ、大体、「特に格好良いフレーズ」のことを指す。

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スカパー!番組放送情報

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BAZOOKA!!! 第12回高校生RAP選手権in幕張

放送日時 9月4日(月)後9:00~11:00
チャンネル BSスカパー!(BS241/プレミアムサービス579)

※TV初放送

大会初となる2Days開催。2日目の本戦には東京・大阪の予選を勝ち抜いた16人の強豪たちがフリースタイルバトルで対決する。

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